土器を作る

昔を想像する

生きていく上で欠かせない行為の一つ、それは調理。日本列島では約一万六千年前に出現したとされる土器は、煮炊きを可能にした。煮炊きは複雑な調理を可能にし、人間の食生活を豊かにし、定住生活を可能にせしめた。

自給自足の究極の姿は、生活用具も自給することである。生活道具の中でも、煮炊きの道具は特に重要である。とはいえ、鍋や陶器を一から作るのは難しい。縄文時代の先人を見習い、まずは土器を作ってみることにした。

武蔵野台地の先人たち

土器を作るにあたって必要なものは何か。粘土である。

縄文時代の先人たちは東京の地に定住し、土器を作って生活していた。「全国遺跡報告総覧」に収録されている、東京都内で土器の出土があった遺跡は1308件(2019/12/16現在)。現代人の生活に鍋や皿が必需品であるのと同様、土器は彼らの生活に欠かせない生活必需品だった。

粘土を採取する

さて、その土器はどこの粘土で作ったのか?

「移動と流通の縄文社会史」(阿部芳郎 著 )によれば、一部地域では遠隔地の粘土で作った土器しか出土しない場合もあるが、多くの地域では地場産の粘土を使用した土器が主流らしい。そうであるならば、東京都内で土器を遺した多くの縄文集落でも、その素材は近場から調達していたと見るのがよいだろう。

さっそく自宅から便利な場所で、粘土を採取できそうな場所を探すことにした。「全国遺跡報告総覧 」の遺跡検索で、「板橋区」「土器」で検索した結果を地図にプロットする。

土器の出土した集落からそう遠くないところには、粘土が取れるところがあったかもしれない。

土器発掘地点から近く、土の出ているところをひたすら探索する。探索すること一時間、果たして粘土はあった。

少量採取させていただき、自宅で乾燥させる。

壺を作る

土が手に入ったので、早速壺を作る。 今回作成するのは土器なので、縄文時代の作り方を参考にし、ろくろを使わずに作り上げていく。

まずは土を水と混ぜて捏ねる。

捏ねた土を紐状にし、環を作るようにしたから積み上げていく。こうすることで、ろくろを使わなくても器の形ができる。

出来上がった壺は、日の当たらないところで数日間乾燥させた。

採取した東京の粘土は柔らかすぎたので、つなぎに購入した信楽産の陶芸用粘土を3割ほど使った。 下と左上は採取した粘土7割・信楽3割。右上は信楽粘土で作った。

壺を焼く

形を整えた壺をいよいよ焼結させる。今回は縄文時代よろしく、焚火で直焼きにすることにした。

まず焚火を起こし、壺を周りに並べて置く。急に温度が上がらないように、少しずつ壺を温める。

壺が温まったところで、だんだん火に寄せていく。

焚火の中に入れ、落ち葉を被せて温度を上げる。

一晩たって灰から掘り出した。いい感じの壺が完成。

底が少し割れてしまったので、植木鉢として活用することにしました。

おわり

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